もともとの基本的な方剤に立ち返って考えることで非常に理解しやすくなる。
今回は小柴胡湯からの派生方剤である
柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯についてまとめてみる。
小柴胡湯
・構成生薬の薬性と帰経はこうなっている黄芩 寒瀉燥降収 肺、心、胆、小腸、大腸
柴胡 寒泻燥降散 胆、肝
半夏 温補燥降散 胃、脾
生姜 温補燥証散 肺、胃、脾
大棗 温補潤降収 脾
人参 温補潤升収 肺、脾
甘草 平平潤平収 十二経
小柴胡湯の主剤は柴胡、人参であり、
柴胡の寒性、人参の補性により方剤の基本性質が決定されているので、
小柴胡湯は胆経の熱証、脾経の虚証に最も反応性が高い。
小柴胡湯は主に胸部から上腹部に関連する熱性疾患、感染症のために作られた方剤である。感冒、肺炎、気管支炎、急性胃炎など上部消化器疾患、それと膵炎、肝炎などにも使われる。
ここで注意が必要なのは、大まかに言えば小柴胡湯は胆経までの症状に使う方剤であり、胆経というのは胆力、つまりは気力で耐えられる症状までである。
自力で生活が出来る程度の症状であり、寝たきり、あるいは進行した肝臓癌や肝硬変に用いる事はあり得ない。20年ほど前に頻繁に引き起こされた小柴胡湯の問題は、無知な医師、メーカーによって起こされた人災である。
柴胡桂枝湯
この方剤は小柴胡湯に痛みの症状を軽減する作用を持たせたものである。桂枝湯+小柴胡湯などという低次元なことではない。
小柴胡湯
柴胡 熱 胆
人参 虚 脾
+桂枝 温補燥升散 膀胱、肺、心
+芍薬 涼補潤降収 肝
柴胡桂枝湯 熱虚
方剤としての帰経、薬性は小柴胡湯と変わりはない。
柴胡加竜骨牡蛎湯
小柴胡湯柴胡 熱 胆
人参 虚 脾
ー甘草 平平潤平収 十二経
竜骨 平補燥降収 心、腎、肝
牡蛎 平補燥降収 胆、腎、肝
桂枝 温補燥升散 膀胱、肺、心
茯苓 平補燥降収 肺、心、胃、腎
柴胡桂枝乾姜湯
小柴胡湯柴胡 熱 胆
人参 虚 脾
ー半夏 温補燥降散 胃、脾
ー生姜 温補燥升散 肺、胃、脾
ー大棗 温補潤降収 脾
ー人参 温補潤升収 肺、脾
桂枝 温補燥升散 膀胱、肺、心
乾姜 温補燥升散 肺、心、胃、脾、腎
栝楼根 寒泻潤降収 肺、胃
牡蛎 平補燥降収 胆、腎、肝